わたしかしわしみん

柏市議会、柏市政の観察記録

柏職員の給与引き下げ(11/29 定例会)

議案15から17号は一括質疑ですね。委員会での議論はかっ飛ばして、初日で質疑、議決までしてしまおうと。定例案件なので扱いが軽いですが、こういう定例案件に対する姿勢にこそ、今の市政の実態があらわれるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

 

各議案のタイトルは以下のとおり

 

議案15:柏市特別職職員給与条例の一部を改正する条例の制定について

議案16:柏市一般職職員給与条例の一部を改正する条例の制定について

議案17:柏市会計年度任用職員給与等条例の一部を改正する条例の制定について

 

ワタシ公務員制度についてそんなに詳しいわけではないですが、議論を聞いた限り、ざっくり調べた限り、これらの議案は柏市で働く職員の給与を引き下げる議案ですと。

 

柏市で働く職員に、3種類あって、①正真正銘の公務員を一般職、②地位的に公務員でないけど柏市職員として働く人を特別職とか、会計年度任用職員と区分しているみたいです。

 

要するに、一般職が民間会社でいうところの正社員、特別職、会計年度任用職が非正規社員ですね。

 

で、特別職と会計年度任用職員の違いがわかりづらいですが、総務省の資料を見る限り、

特別職:専門的な知識経験等を有する者が就く職

会計年度任用職員:一般職の非常勤職

という説明がされています。さらに、全国の自治体職員の非常勤職員69.4万人のうち、62.2万人(全体の89.6%)が会計年度任用職員です。ほんでこの62.2万人のうち、55.2万人がパートタイムということです(R2年4月1日時点)。

 

なので、誤解を恐れず議案をざっくりわかりやすく書くと、「柏市の正社員とアルバイトの給料引き下げについて」ってイメージになります。

 

柏市の正社員(公務員)は、柏市のために働くので公務員なのであって、その給料はみなさんの税金で賄われてます。でその給料の水準は、人事院という東京にある中央のお役所が毎年、民間の給与動向をチェックして、民間の給与こんな感じだから、公務員の給与上げてね、とか、下げてねという勧告を出します。

 

ここまでが前提で、以降、質疑にいちゃもんつけるかたちで、ワタシの学び、気づきも書いてきます。

 

この議題での一番バッターは、内田 博紀議員(無所属)ですね。

 

内田センセのご質問の趣旨は(あくまでワタシ的理解)、①今回の一般職(柏市正社員)の給与引き下げに伴う税収へのインパクトはどんくらい?②人事院勧告にこのタイミングで応じない自治体も存在するなかで、このタイミングで対応する理由はなーに?

 

これに対してご回答の柏市総務部長、①税収へのインパクトは、ざっくり420万ほど。考え方としては、一般職1人当たり5万の引き下げになるので、一人あたりが支払う税金がざっくり3,000円減りますと。一般職の役半数が柏市内に在住しており、その数およそ1,400人。1,400人×3,000円で、420万円です、②人事院勧告に従う理由は、多くの自治体が引き下げているから。千葉県内では、30市引き下げ。7市は据え置き。来年の6月に決議して、来年度の後半で1年分まとめて引き下げることもあり得るけど、生活へのインパクトが大きくなってしまいますと。

 

内田センセの更問で、人事院勧告に準拠していない自治体もいるじゃないかと。世の中値上げで生活苦しいですよ。6月の物価上昇率みてから判断するとかでもいいじゃない。ところで物価の上昇率とか判断に影響しないの?検討してんの?とご質問。

 

総務部長、物価上昇率柏市としてみていませんと。国において勧告が出されたので、実施すると決めたんですと。

 

内田センセ、この間の経済情勢を考えると、このタイミングで引き下げは妥当でない、特に会計年度任用職員は、公務員じゃないのに人事院勧告に沿って給与引き下げるのは納得いかないとおっしゃって質疑終了。

 

2番手バッターの共産党、渡部センセのご質問。第1問は色々ご質問ですが、細かいので省略。第2問は、①今回の給与引き下げ、正社員とアルバイトとあわせて2.1億円(第1問での回答で判明)の地域経済への影響についてどう考えてんですか、②そもそも人事院勧告に従う法的な義務があるのかいなとご質問。

 

これに対して総務部長、まず人事院勧告に従う義務はないですと、ただ、民間との均衡性を保つ必要があるから、従う必要性がありますとご答弁。続いて、地域経済への影響についてですが、「経済と職員の給与は別物として考えていきたいと考えている。経済対策は別の経済部等の対策で賄っていければと思っている」とご回答。

 

(このご答弁は少しまずいんじゃないでしょうか。給与がさがれば地域経済にはネガティブに働くのは常識なので、そうしたネガティブな影響については認識したうえでの措置です、ということだとおもうんですが、「経済と職員の給与は別物」とか言っちゃうと、常識知らずのやばい役人wwwみたいに見えてしまいますが、どうでしょうか。)

 

 

これに対して渡部センセ、今国を挙げて経済浮揚策を考えようというときに、今の答弁はいかがなものかと思う、と(当然のツッコミですな)。そのうえで、経済への影響を踏まえて見送った自治体もありますよと。何よりコロナ対応でしんどい思いしている職員の苦労に報いることになっていないじゃないかと、おっしゃり、市長の見解を問うと。

 

これに対する市長答弁(初答弁ですね)。傾聴に値するご意見ですねと。コロナ対応で職員の負担は大きい状況です。一方で、民間社員にも負担があり、給料が下がってますと。自分としても給与引き下げはできれば避けたい思いだが、官民格差の是正から人事院勧告に準拠する必要がありますとご説明(教科書的ご答弁で、さっきの総務部長答弁をフォローしたかたちになりました)。

 

この議案最後のご質問。また無所属の末永センセ。

 

第一問はアルバイトの月額の給与いくらですかと。

 

総務部長、様々なので一概に言えないと、時給で、少なければ970円、多ければ1,500 ~1,600円ですと。

 

末永センセ、生活保護よりちょっと多いくらいの賃金しかもらってない人もいるんだと、そういう人まで一律に下げることについてどう思うんですか、もうちょっと柔軟な判断があってもいいじゃないかと、せっかく太田市長になったんだから、もうちょっと血が通ったことしないさいよと(面白い兄貴分てきなセンセですな)。

 

これに対して総務部長、センセのおっしゃる通りですと、ですので今、基本報酬の引き上げを議論しているところですと、ご答弁。

 

すると末永センセ、引き上げっつたって、十円単位の話だろう、30円か60円上がっても雀の涙なのに、今回一律〇%とかでカットするってのはどうなのよ、と。6月にもまた聞くから、きちんと検討してよと。そしたら、末永センセ総務部長の顔みて、ああ、総務部長3月にやめるんだっけね、うれしそうな顔してると思ったらそういうことか、けど、そこきちんと直してからやめてくださいよと(総務部長に退職祝いの宿題をプレゼントwww)。

 

総務部長、もう一度民間との比較をして検討していきたいとご答弁(渋々な感じで趣がありました)したところで、この議案の質疑終了。

 

 

さてさて、決議はいずれも賛成多数で可決されたわけですが。

 

個人的に勉強なったのは、人事院勧告に従うか否かは、自治体できちんと判断する余地があるということですね。ただこれ、毎年のことですし、独自判断することは、それはそれで説明が重たいので、粛々と勧告に従い、上げるときは上げるし、下げるときは下げるとするのが楽ちんではありますよね。ただ、従っていない自治体もあるぞと、コロナ対応でしんどい職員が可哀そうだと言われれば、なんとも反論しがたいとこですね。

 

あと、総務部長の「給与と経済は別物」発言はちとまずいと思います。通常、議会でのやり取りは、事前に質問をセンセ方が送り、これに対する答弁案(想定答弁とかいいます)を事務方で準備して臨むのですが、想定通りに答弁したのであれば、関係者一同。猛反省が必要と言わざるを得ないですな。

 

今回は、ここまで。

ではノシ