わたしかしわしみん

柏市議会、柏市政の観察記録

柏市・令和4年度行財政運営方針の読み方に関する私見

久方ぶりの更新でございます。


今回は、先日(4/8日)、ワタシの重要関心事でありました柏市の行財政運営方針が公表されましたので、鑑賞いたしましょうということです。
―― なお、この行財政運営方針が公表されるに至った背景については、以下の過去記事をご覧いただくとざっくりお分かりいただけるかと思います。

mtsukah22.hatenablog.com

 

この方針の公表を、ワタシ首を長くして待っていたのですが、いざ公表された中身を見てですね、これを一体どのように受け止めるべきか悩ましくて悩ましくて、思案しておりました。

 

ワタシが悩ましいと思った最大のポイントは、

行財政運営方針(新方針)と、柏市経営戦略方針・柏市第五次総合計画(既存方針)の関係を理解することが難しい

ということです。

 

具体的に難しいと感じた部分や、その上でのワタシなりの読み方については以下でお示ししますが、そういう難しさを踏まえると、果たして【市民にわかりやすく「伝わる」情報発信】になっているのかな、というのが一番モヤっとしたポイントですな。もうちょっとはっきりお示しいただけると、ワタシのような一般市民フレンドリーなんですけど、と思ってしまった次第。

―― 念のため、誤解なきよう申し添えますが、ワタシは柏市がより良くなることを心から願っている「いち市民」ですので(書いているうちに、筆がすべってつい批判的になってしまうことも多々ありますが)、基本的に柏市をとても応援していますし、こうやってつらつらと書いているのも、私なりの市政への参加であり、応援であります。

 

ではでは、具体的にみてまいりましょう。

 

―― 柏市行財政運営方針(以下、新方針とも言います)は以下のページで公表されております。

令和4年度行財政運営方針 | 柏市役所 (kashiwa.lg.jp)

ーー このHTMLのページには、計画の冒頭部分がのっかっているのですが、本文全体はページの一番下にリンクが組まれていて、PDFでのっかっています(URLは以下)。

https://www.city.kashiwa.lg.jp/documents/29128/r4gyouzaiseiunneihoshin_press.pdf

 

まず、本文(全文PDFのほう)の1ページに、「はじめに(行財政運営方針の位置づけ)」と題して、この方針と、過去の計画との関係性が述べられております。まあ、このページの図をみるとわかりやすいので、拝借します↓。

 

f:id:mtsukah22:20220413204221j:plain

(出典)柏市・令和4年度行財政運営方針

この図によると、行財政運営方針とは、①各年度における【経営資源の配分・活用】における方向性を示すパート(行財政運営の方向性)と、②各年度に優先して取り組む主要な政策体系のパートからなるものですと。そんで、これらのおおもとには、まちづくりの将来ビジョンを示す柏市経営戦略方針・柏市第五次総合計画があるのですと。

今回話題にしたいのは、この①のパート(行財政運営の方向性)と、柏市経営戦略方針の関係です。
―― なので、今回②のパートはパスします。

①のパートはどういう構成になっているかということで、目次をみると、

--------------------------------------------------------------------------------

Ⅰ 令和4年度における行財政運営の方向性 ・・・・・・・・・ 2
 1 生産性・効率向上の取り組み ・・・・・・・・・ 3
 2 健全財政の維持の取り組み ・・・・・・・・・ 4
 3 人材・組織づくりの取り組み ・・・・・・・・・ 5
 4 多様な主体との連携の取り組み ・・・・・・・・・ 6

-------------------------------------------------------------------------------

という構成になっています。

最初見たときはですね、ふむふむと眺めていたわけですが、なんか違和感があってですね。その違和感というのは、「Ⅰ 令和4年度における行財政運営の方向性」の本文(2ページ)から受ける印象と、その後に続く1~4の小見出しの項目の本文(3ページから6ページ)から受ける印象にギャップを感じるのですよ。

なんでかなー、しかし、1~4はどっかで見たことあるなー、とか思っていたところ、この1~4の項目は、柏市経営戦略方針(既存方針)において掲げられている「経営資源の活用方針」に示されている4つの方針とほぼ同じであるということに気づいたのですよ↓。

f:id:mtsukah22:20220413212103p:plain

(出典)柏市経営戦略方針〈柏市第五次総合計画後期基本計画〉

具体的な取組として、新たに述べられていることもある(後述)のですが、少なくとも経営資源の活用方針について、新市長のもとで策定された新方針のそれと、秋山前市長のもとで策定された既存方針のそれとは、大して変わらない、という風に理解せざるを得なくなります。

―― 市議会の議論を踏まえてポジティブに解釈すると、柏市五次総合計画はそれなりに重たいステップを経て策定されていることからして、既存計画をある程度配慮、尊重しなければならない、という思いがあるのかもしれません。実際、そんなことを匂わせる太田市長の答弁もございました。しかし、柏市民の多くが太田市長を選んだことを踏まえると、経営資源の活用方針が前時代と瓜二つどころか、そっくりそのまま使いまわす程に謙虚になる必要はないと思うのですが、いかがでしょうか。果たして、太田市長にそういう配慮があるかどうかはともかく、客観的に公表された計画を見比べると、基本的には前市長と同じ方針ではないか、との印象を持たれても仕方ないと思うのです。なお、既存計画の策定プロセスについては、以下の記事で触れています。

mtsukah22.hatenablog.com

 

そうすると、最近の市議会での議論も踏まえつつ、今回の新方針をどう読むか、ということについてワタシの見解を述べますと、【新方針における経営資源の活用方針について、実質的に意味があるのは2頁のみ】ということです。

もうちょっと解釈を拡大すると、2頁記載の事項は、1~4の小見出し項目より高いレベル感で書かれていることを踏まえると、2頁に記載の事柄については、これまでの計画において示された方針に優先し得るものとして位置付けられているものとして読むべきではないか、とも考えられるのですが、考えすぎでしょうか。
―― そう読むと、2頁の右下に柏市長の署名があることの意味も、すっきり腹落ちするのです。ちなみに、この署名、計画の冒頭が記載されているHTMLページにはございません。

―― なお、この2ページに記載の事柄というのは、太田市長の公約で掲げられていたものがほとんどですので、そういう意味では新規性はあまりないです。太田市長の公約が、市の公式な計画に位置付けられた点がNew!なだけです。

 

こういう解釈をしないと、正直、この新方針を出した意味がさっぱりよくわからないのです。相当部分が、既存計画の焼き増しになっていますから。確かに、各方針における現状認識とか、取り組みの方向性とか、主な取り組みとか、丁寧に書いていただいているんですが、既存方針の記載事項に肉付けしたようなものに過ぎない印象です。また、いくら具体的な取組で新規なものがあったとしても、なかなか新しい風を感じるような解釈ができない(その趣旨は後述します)というのが私の受け止めです。

ですから、新方針は、2頁以外ほぼ意味なし、と読んだのですが、この読み方が正しいかどうか、次の議会における議論で答え合わせができるでしょうか。

 

ワタシの読み方が正しいにせよ、正しくないにせよ、位置づけが非常にわかりづらいと言わざるを得ず、そういう意味では、2頁に記載の【市民にわかりやすく正確に「伝わる」情報発信】にはなっていないのではないかと、これがモヤっとポイントですな。

 

以上が総論ですが、いくつか、具体的な記載事項についてコメントいたします。

 

①本文・2頁

(引用)

・災害に強い強靭なまちづくりの取組
 「誰も取り残さない万全な避難体制」に向け、電力確保等の環境整備に取り組みます。

 

(コメント)

⇒過去記事でも申し上げましたが、新電力会社にはワタシ現時点で大反対です。

 

②本文・4頁(2 健全財政の取り組みにおける「主な取り組み」)

(引用)

・主要な財政指標の中核市平均値(下記)を基準値とし、当市の財政状況の評価と分析を行い、歳入確保策の検討や優先事業への財源の適正配分など行財政運営に反映します。
中核市平均値(令和2年度)※基準値については、毎年度更新します。
〇経常収支比率92.9%・将来負担比率43.7%
〇実質公債費比率5.7%・市債残高比率163.9%

・市有地の売却促進に向けた未利用地情報の公開

 

(コメント)

⇒具体的な財政指標について、他の中核市との対比で評価をしていく取組自体は良いと思うのですが、先に述べたように小見出しが「健全財政の取組」となっていることや、文字面としては旧市政の方針と同じこととの関係で、どう解釈したらよいものかわからないです。
⇒他の中核市との比較でいえば、柏市の財政は超健全です。なぜなら、過去の柏市政では、せっせせっせと歳出を削り、一生懸命貯金をしてきているからです。そういう節約が必要な場合もありますが、ワタシとしては、柏市はやり過ぎで、その結果として市民生活インフラの整備が追い付いてない部分があると考えています。この辺は、以下の記事で述べております。

mtsukah22.hatenablog.com

⇒ですから、例えばもうちょっと市債を有効活用しよう、とかそういう議論があってもよいと思うのですが、見出しが「健全財政の取組」ときて、旧計画のそれを踏襲しているので、比較した結果どうなっていくのか、そのベクトルがよくわからないのですよ。

⇒市有地の情報公開は早速にやってほしいと思いますが、これを公開することで、色々な業者さんがちょっかい出してくることを少し懸念いたします。市有地の処分は、適正な価格で、公正に、透明性をもってやっていただきたいですな。

 

③本文・5頁(3 人材・組織づくりの取り組みにおける「主な取り組み」)

(引用)
・リーダー層を対象とした課題解決、政策推進能力の向上及び中堅層を対象とした業務遂行力向上のための職員研修の充実
・職層ごとに求められる期待役割の明確化と給与等の処遇の見直し
・政策推進に資する組織体制の構築(組織の適正規模等の検討・再編)

 

(コメント)

⇒これもベクトルがどっちなのか解釈できないということでして。。。極力、職員のモチベーションを高める方向で、優秀な人材を登用できる方向での取組をお願いしたいものです。いえ、効率化、健全財政、ときた後での処遇見直しとか、組織の検討とかってことだと、給与の削減、リストラ、と読む方向に流れやすいのでですね。。。柏市サポーターのワタシとしては、是非、市役所の職員のみなさまがより一層働きがいをもって働いていただけるよう願っております。

 

それではノシ