わたしかしわしみん

柏市議会、柏市政の観察記録

柏市行財政に関する私見(行財政ってなにさ、将来負担比率が「ー」ってなんなのさ)

2022年初投稿です。

 

令和3年第4回定例会については、興味の赴くままに議会での議論を取り上げた訳ですが、その過程でどうしても気になったことがございます。

それは、柏市の行財政はいったいどうなっているのか、ということです。3月の議会では来年度予算について議論がされますので、1月はちょくちょくこのテーマで記事を書くつもりです。

―― 令和3年度第4回定例会では、共産党の平野センセの質疑が関連します。

共産党・平野センセ・柏市財政ご飯論法(12/9) - わたしかしわしみん

 

1.行財政とはなんでしょう

行財政という言葉はワタシ聞き慣れませんですが、行政と財政をまとめたモノだということみたいですね。行政は公共サービスの提供など、財政はおカネ。

柏市政は当然市民のみなさまに公共サービスを提供することを使命としている訳ですが、何をするにもお金がかかります。お金がなきゃ素晴らしいサービス提供計画も絵に描いた餅というわけで、行政と財政は一体不可分の関係にあります。

柏市議会を眺めていると、柏市は近年、財政が厳しいことを口実に様々な要望等に応じない姿勢であると。

―― こうした現状を踏まえて、平野センセが、同様の他の中核市対比で柏市財政は厳しいのか、と質問したところ、柏市の財政は恵まれているが豊かではない、との柏市財政部長の「とんち」が効いた答弁がさく裂したのでした。もしそうした市政運営が事実だとすると由々しき事態です。本当に、厳しいとか、豊かでないとか、そういう抽象的な評価で要望が通らないということではないと信じたいです。

ワタシとしては、柏市財政が厳しいとか豊かでないとか、そういう抽象的な議論はどうでもよいです。いったい柏市にいま何が足りていなくて、そのためにいくらお金を使うことができるのかということをもっと具体的にわかるようにして欲しいのですよ。

―― 私が柏市に引っ越してきて実感することとして、思っていたよりも公的な資本(道路、公園、病院etc)が弱いということ。いい街ですが、いくつか具体例を挙げることができるほどに、私の実感としては足りないものが多い。ただ、柏市民はワタシだけではありませんので、市民皆さんのことを考えたときにもっとも必要と考えられるサービスが提供されていればよいのです。

普通、どんな組織にも、こういう組織にします、こういうことを実現します、みたいな目標があるはずで、その目標実現のためにお金を使っていくもんですよね。当然、それが柏市であれば、柏市をこういう街にします!みたいな方針や目標があって、そのための過不足を認識したうえで、お金を使っていくわけです。問題は、今の柏市がそういうプロセスを踏むことができているのかということです。

今後、柏市のまちづくりの方針、目標の現状、柏市のお金の使い方について理解を深めていきたいと思っていますが、柏市行財政を見るうえで、注目したい指標を先に少し取り上げます。

 

2.将来負担比率

地方自治体の財政を分析する指標の1つに、「将来負担比率」というものがあります。

ものすごくざっくり理解ですが、これは、将来返済負担の生じる実質的な借金(借金現在高から貯金現在高を引いたもの)が自治体の財政規模、収入に占める割合を示すものです。

この比率、柏市は将来負担がマイナスなので、比率をだせません。将来負担がマイナスということは、誤解を恐れず言い換えると、実質的には借金より貯金が多いということ、柏市は実質的には無借金ということです。

これについての柏市側の見解は、将来、設備の更新や扶助費(社会保障制度に関する費用)の増加に備えておく必要があるため、借金を抑制する必要があります、将来世代の負担抑制に努める必要がありますというものです。

 

ここまで書いて、1つ疑問が生じます。

―― 柏市の見解にある、将来の設備更新により費用が嵩む見通しにあるっていうのも、ワタシとしてはいまいち納得いってませんが、それはまたどっかで。

借金をしないことは将来世代の負担抑制になるのでしょうか?

健全な財政を保つことは必要ですが、柏市が最優先すべきことは、せっせと貯金を貯めることではなくて、市民にサービスを提供することです。そして、そのために必要であれば、借金することは当然です。柏市が公表している「令和3年度 柏市のわかりやすい予算」の19ページには以下の記載があります。

 市債(借金)には,「毎年の支出を平均にする役割」と「現在の市民と将来の市民の負担を公平にする役割」があります。
 学校や道路などの公共施設の建設には,一時期に多額のお金が必要になります。これをその年度の収入だけで賄ってしまうと,他の事業ができなくなってしまいます。また,公共施設は現在の市民だけでなく,長期間にわたって将来の市民も利用するものであるため,公平にその費用を負担してもらうという意味から市債を活用しています。 

https://www.city.kashiwa.lg.jp/documents/3527/r3wakariyasuiyosann.pdf

 

市が借金をすれば、それは金銭的、経済的な意味での将来負担が生じることは事実です。一方で、市が借金をしていないとすると、将来世代に残すべき公共資産を残せていない懸念が生じるのです。

そこで、この将来負担比率が、類似の自治体でどうなっているのか、見てみると。。

           H29年度    H30年度    R元年度
柏市           -       -       -
類似団体平均        37.6           34.0          33.9

※将来負担がマイナスの柏市は、比率が出せませんということで「ー」の表記です。

    出典:柏市財政状況資料集(https://www.city.kashiwa.lg.jp/documents/3537/122173_kashiwa_2019.pdf

 

金額に引き直して計算することまでちょっとできませんが、まあ、なんとなく、他の自治体さんはそれなりに借金してるんですね。中にはもしかしたら無駄な費用が多い自治体さんもあるかもしれませんが、意味のある公共投資を多く手掛けている自治体さんが多いのではないかとも思います。

誤解のなきよう申し上げますが、借金することがいつもいいことであるとは思っておりません。無駄遣いするための借金はもちろんダメです。ただ、借金回避のために、本来必要な事業を行わない市政は、怠慢であるということが申し上げたい訳で、柏市の行財政を見る目線は、「無駄遣いしているのではないか」ではなくて、「ちゃんと仕事しているのか」ということではないかと思うのです。

借金が少ないことを自慢することは結構なのですが、その結果、必要なサービスが提供されていないとすると、それは将来世代に致命的なダメージを与えているようにしか思えず、極めて無責任な市政運営と言うべきだと考えます。そういう市政運営を十何年やってきているとするとですね、ぼちぼち色々不便が出てくるんじゃないでしょうか。

いい街にするために、場合によって借金も活用し、事業を行う。そうしてできた住みよい街にたくさんの人が集まり、財政が潤い、借金を返済していく。青臭いですが、こうしたいい循環を目指すことが基本スタンスではないでしょうか。。

 

ではノシ